ソース の一部
 
【香港＝河崎真澄】香港で「真の普通選挙」を求めた民主派による大規模な抗議デモは１１日、街頭の占拠を始めてから２週間となった。香港島中心部の幹線道路で１０日夜に開かれた抗議集会には、学生団体の発表で約１０万人が参加。その大半は大学生や２０代から３０代の若い市民だった。街頭占拠は当初、市民団体が呼びかけたが、行動力でも数の上でもしだいに「学生パワー」が強まり、主導権を握るようになった。デモの現場で若者の話を聞いた。

　■「黙っていたら中国にのみ込まれる」

 　幹線道路にかかる横断歩道橋や通路には、思い思いのメッセージを書いた学習用の小さな紙が、無数に貼り付けられていた。「香港にはこれが最後の機会」と書き込んだ２０代のＯＬ、李慧怡さんは、「黙っていたら言論の自由もない中国の共産社会にすぐのみ込まれる。返還後に中国の富裕層の買いあさりで不動産が高騰し、私たちはどんなに働いても一生、小さなアパートすら買えなくなった」と口を尖（とが）らせた。郊外でも約５０平方メートルのアパートで５千万円は下らないという。

 　選挙制度をめぐる論議もさることながら、若者らを突き動かしているのは実のところ、香港から自由な民主社会が奪い取られ、経済的にもしだいに困窮さを増していくのではないか、という強い危機感だった。

 　当初は民主派の市民団体が、金融街セントラル（中環）を大群衆で占拠するデモを金融市場が休みになる１０月１日に行う計画だったが、１７歳の学生活動家、黄之峰君らが主導する学生団体の抗議活動に引きずられる形で、９月２８日未明に街頭占拠が前倒しされた。

 　路上でギターを引いていた男子大学生は、「香港にとって１７歳の黄之峰君の活躍は同い年の（ノーベル平和賞に輝いた）マララ・ユスフザイさんに並ぶ」と大声で誇らしげに言った。