第百七十六話「アスラ王国へ出発」ーペルギウスの空中要塞の所に寄り、そこにある転移魔法陣を使用させてもらう事で、一気にアスラ王国へと向かった。
問題は、ルークが人神の使徒である可能性が高く、エリスの師匠である北帝オーベール・コルベットが襲撃してくる可能性が高い事だ。
幸い、オルステッドの口から、ルークの死亡フラグをへし折る生存フラグ発言が出てくる。
ー
「どうにもならん、その時には、奴もヒトガミの呪縛から逃れているだろう」
「ヒトガミの使徒は三人までなんですよね? 放置しておいて大丈夫なのでしょうか?」
「問題ない、人間がヒトガミの使徒でいられるのは、奴の未来予知の結果が出るまでだ」
未来予知の結果が出るまで?
おいおいオヤブン、そういう大事な事は、もっと早く言っといてほしいな。
するってぇとなにかい、戦いの最中で使徒が変化するって事態もありうるわけかい?
「そして、奴の未来予知は、ある転換点が境となる。今回の場合は、アリエルがグラーヴェルとダリウスを退けて王となるか否か、といった所か」
「それまで、使徒は変化しない、と?」
「ああ」
(´・ω・`)ルーク生存フラグだ。
第百七十七話「赤竜の上顎」ーー打ち合わせた通りのフォーメーションで移動すると、やっぱり予想した通りの待ち伏せがあった。
30人近くの兵士が剣を抜いて襲いかかってきて、その中に 『光と闇』のウィ・ターっていう小人の戦士がいる。
剣王ギレーヌより(小細工的な意味で)強い強者さんだったから、主人公が想定していた事態よりも悪かった。
主人公は、北帝オーベールの存在を警戒して、魔法による援護が出来ない・・・が、オルステッドの言いつけを破って、主人公は魔法で援護した。
その結果、北帝が奇襲攻撃してきて、主人公があと少しで斬り殺されて人生終了寸前の状況になる!
が、主人公の手は義手。ロケットパンチー!で奇襲攻撃に対処して、皆無に近い被害で圧勝したのだった。 ー
「ねぇ、ルーク、この紋章って……」
理由はすぐに判明した。
たくさんある死体のうちの何割か。
彼らの鎧に、ある紋章が書いてあったのだ。
その紋章はアスラ王国の、とある領土の領主のものだ。
その領土の名を、ミルボッツ領という。
アスラ王国において極めて強い力を持つ地方四大貴族の一つに収められる領地だ。
俺たちを襲撃した兵士に、その領地を治める者の兵士という事になる。
それが意味する事。
察してルークがつぶやいた。
「馬鹿な……」
ミルボッツ領領主。
ピレモン・ノトス・グレイラットは、アリエルを裏切ったのだ。
(´・ω・`)よしわかった。
ヒトガミの使徒になったに違いない。
第百七十八話「推察」ーー主人公が北帝オーベールがあらじかめ攻撃してくる事を知っていた事をルークに気づかれ、疑惑の声をかけられていた。
ルークは父親がアリエル王女を裏切った事実に動揺しまくって、心が猜疑心に満ち溢れている。
今回の一件で ルーク = ヒトガミの使徒な事が確定し、主人公は困った。
高確率でルークをぶっ殺す未来が待ってる。
主人公はヒトガミが、どういう内容の助言をルークにしたかを推測し悩んでいた。
更にオルステッドと相談すると、敵が北神三剣士を雇っている可能性が出てくる。
このままだと、ルークという不確定要素がいる事がやばいので・・・・主人公はルークを説得してみる事にした。 ーー
「いい夜ですね。ルーデウス様」
アリエルだった。
彼女は焚き火を背後に、立っていた。
火の作る影が、彼女の美しい顔に陰影を作っていた。
シルフィとクリーネが困った顔をしている。
「少し、お散歩をしませんか?」
アリエルは、不敵な笑みを浮かべながら、そう言った
(´・ω・`)何かのフラグか。
第百七十九話「アリエルの選択」ーーアリエル王女が主人公と二人っきりの状態で話しかけてきた。
既にルークを裏切り者だと認識しており、主人公とオルステッドを自分の陣営に引き入れようと頑張っている。
問題点があるとしたら、オルステッドは世界中の存在から嫌われるのろいを持っているから・・・引き合わせると、主人公も裏切り者認定されかねないんだよ!
そして実際にあわせたら、アリエル王女が失禁した。
主人公はアリエル王女のパンツを洗濯する嵌めになり、オルステッドとの対話はアリエル王女が嫌悪感を切り離して会話するという離れ業を持つ人だったから大丈夫だった。
呪いのせいでオルステッドのことを全く信じてないという問題はあるが、ヒトガミのことを素直に話し、それがルークが不審な行動を取っている原因だと教えることができ、アリエル王女は悪魔に魂を売り渡してでも勝利する覚悟を決めて、オルステッドに協力を申し込んでくる。
オルステッドは自分が悪魔とか、そんな感じに思われてたせいで精神的に辛くてゆんやっー!
ーー
しばらくして、アリエルは気を持ち直していた。
現在は、取り澄ましたかのように、普通の顔をしている。
汚れたズボンとパンツは、俺が水魔術で洗濯をして、風と火を組み合わせたオリジナル混合魔術『スチームドライ』で乾かしておいた。
布の生地を痛めるのと引き換えに急速に乾かす術で、
使うとアイシャが怒るため、我が家では禁術として指定されている。
今回は緊急事態だから、仕方なかったといえよう。
……それにしても、俺もそこそこ長いこと生きてきたつもりだが、
王女様のパンツを洗濯する日が来るとは思わなかった。
やっぱ、この世界でも高いパンツはシルクなんだなぁ……。
(´・ω・`)とうとう王女様のパンツにまで、手を出す男になれたか。
第百八十話「トリスティーナ」ーー『せっかち者』のトリスさんは主人公に呼び出されて激怒していた。雨でぬれてビチョビチョ
それは未来の主人公が尊敬していた人物だったが、この時間軸の主人公には接点がないので、とっても印象が悪い。
主人公は持ち前のイケメンっ!の力で、トリスをすぐに落ち着かせ、自己紹介すると・・・主人公はとんでもない危険人物だから、既に知られていた!
幸い、アリエル王女のおかげで簡単に説得が済み、仲間になってくれる。
このトリスって娘は、幼い頃にダリウスに攫われた過去があり、そのせいで人生が地獄になり、ダリウスに恨みを持っている。
アリエル王女なら、勝算があるかもしれないと思わせたから、仲間になってくれた。 ーー
その後、話はトントン拍子で進んだ。
俺が何を言うまでもなかった。
トリスは懺悔でもするかのように、アリエルにそれまでの半生のほとんどを明かした。
幼い頃に攫われた事、
ダリウスの性奴隷として生活していた事、
盗賊団に売られた事、
そして、しばらく盗賊の親分の女として生活した事。
親分の気まぐれで盗賊としての修行を初めた事。
親分が代替わりして自由の身となり、今に至る事。
中にはかなりエグい内容もあったが、トリスは泣くでもなく笑うでもなく、淡々と会話を終えた。
アリエルは彼女の人生の辛さに涙を流した。
心からの涙だった。
涙を流しながらアリエルは「その辛さはわからないが、彼女を地獄に突き落とした張本人に天罰を与える」と約束した。
そのため「ダリウスに性奴隷にされていたという証言をしてほしい」と懇願した。
迫真の演技である。
事を、情報として知ってるってだけだろう。
なんでもかんでもヒトガミに結びつけると、判断を誤りそうだ。
(´・ω・`)犯罪を立件するための、証人として使えそうな感じな娘
第百八十一話「道中」-トリスを仲間にしたおかげで、アスラ王国の裏の道を使いまくり、敵の奇襲に全く会わずに旅をする事が出来た。
このアスラ王国という国は、冒険者としてやっていくのが困難なくらいに、専門業者がいるので冒険者が暮らし辛い。
目的地へと向かいながら移動して、街に到着するとサウロス・ボレアス・グレイラットを殺した主犯に関する情報がやってきた。
犯人はピレモン・ノトス・グレイラット。アリエル派の筆頭貴族でルークの父親だった。
もしも本当に裏切っていた場合は、ギレーヌに約束通りに斬らせる事になる。
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翌日、アリエルから報告があった。
昨日の喧嘩のおかげで、ようやくルークが口を割ったらしい。
結論からいうと、ルークはやはりヒトガミの助言を受けていた。
ルークが受けた助言は一つ。
時期は、旅の準備をしている間。
概要としては『ルーデウスの裏切りに注意しろ』といったものだそうだ。
ヒトガミ曰く。
ルーデウスはノトス家の領主になるべく、ダリウス側についたそうだ。
目的は地位と金とアリエルの体。
それをシルフィに悟られる事なく、暗躍しているらしい。
昼間はアリエルの味方をしつつ罠へと誘い、
夜中にはダリウス側の間者と手引して情報を伝える。
何から何まで、数年前から俺が秘密裏に計画していたものだったそうだ。
シルフィと結婚したのも、これを見越しての事だそうで。
実に根回し上手で有能なルーデウスだ。
俺と交換して欲しいぐらいだな。
それぐらい冷酷に立ち回れるなら、人生もっと楽に生きられるだろう。
ルークも最初は「ルーデウスがそんなものに興味があるとは思えない」と、信じなかったようだ。
彼にそれほど信用されているとは思っていなかったが、これも日頃の行いか。
だが、最近になって転移魔法陣が破壊やら、ノトス家の裏切りやら、ヒトガミの予言が的中しはじめた。
こうなって来ると、ルークの俺への信頼は脆くも崩れ去る。
彼はあっさりとヒトガミを信じて、俺に疑いの目を向けるようになったというわけだ。 (´・ω・`)これでルークの処刑フラグさんが折れたか。
(´・ω・`)
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